あなたにイチ推し!001- 増え続けるキャラクターたちの密度『Baby Princess ベイビー・プリンセス OVA 3Dぱらだいす0[ラブ]』

 10月からスタートをしたTVアニメの中だけでも、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Rhyme Anima』や『アサルトリリィ Bouquet』など、主要キャラクターが20名近く登場する登場する作品も少なくない。原作に登場する大勢のキャラクターたちを限られた尺の中でどのように描くかは、注目される要素のひとつとしてあげられる。
 2011年に発売したOVA『Baby Princess ベイビー・プリンセス OVA 3Dぱらだいす0[ラブ]』は、この2作よりもはるかに少ない尺の中でヒロインたちの愛らしさを見事に描き切った作品だ。本作は雑誌「電撃G’s magazine」で連載された「シスタープリンセス」や「ラブライブ!」などで知られる公野櫻子が文や設定を手掛ける同名の読者参加企画が原作。突然現れた生き別れの母親と暮らすことになった主人公・陽太郎は19人の姉妹と突然同棲することに。彼女たちと主人公の絆を深めるため、母親から旅行の話が飛び出すのだが……。物語は、同棲をよく思わない六女・氷柱(つらら)、九女・麗(うらら)との和解と陽太郎のクラスメイトでもある四女・ヒカルが密かによせる恋心が縦軸で進む。
 本作は、ストーリーの本筋に関係する姉妹だけではなく、19人姉妹全員の魅力を取りこぼすことなく描いている。例えば、八女・小雨(こさめ)は姉妹の中でも奥手で控えめな子だ。個性的な姉妹たちの中では目立ちにくい小雨。しかし、小学生姉妹たちのまとめ役として頼りにされている姿や冷静にみえる一方で少しドジな姿が限られた尺の中でしっかりと描かれる。30分に満たない尺の中で19人姉妹の日常や水着に入浴シーン、ちょっとエッチなハプニングと美少女アニメの見せ場である要素を描きながら、姉妹ひとりひとりが持つ様々な魅力が組み合わさって作品を彩る、寄木細工のような美しさが本作の魅力だ。
 なお、本作はブルーレイに収録された立体視による3D版やAmazonプライム・ビデオによる配信など、さまざまな方法で視聴することが出来る。
 大勢のヒロインを効果的に描いた確かな手腕を見逃したくない。

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機長
1987年生まれ。日中は、アニメの本とかを作っています。本サイト「aninado」の管理や脚本家雑破業に関する同人誌を作るサークル「超電磁弾痕」主催。おつまみ紹介同人誌を刊行するサークル「かるこーるぞく」企画、テキストを担当。